カテゴリー: 感想

『落下の王国』感想

4Kデジタルリマスター再上映!ありがとうこの企画を決定した偉い人!おかげで初鑑賞できました!
もうこの映画の存在を知って、本物の世界遺産を舞台としたという作品内容に興味を持ち、しかし見る手段が乏しいと知っては定期的に諦めるということを何年定期的に繰り返してきたのだろう? 思えば月イチゴローで紹介してたのを見た時に既に存在を認知していた=あれは公開当時の特集ということは、2008年から? 17年越しにようやく本編を見れたということに?

しかし見た感想として、大人になった今だからこそこの映画のすばらしさが分かるのだという気がするので今見られてよかったです。
というわけで下記細かいあらすじ・ラストまで触れたネタバレを一切気にしない感想です↓

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『ボーはおそれている』感想

鬼滅も近畿地方も8番出口もMERもヒックとドラゴンも観たいんですが、そろそろどれか観たいな…と思って開いた金曜夜の上映スケジュールの中、一週間限定上映の『ボーはおそれている IMAX版』が目に留まり、えっ…!?という葛藤の後、チケットを買ってしまっていました。

いやわかってる。絶対鬼滅観た方がいいよね。近畿地方もちゃんと怖いらしいしさ。白石監督作品好きだし。8番出口もかなりちゃんとした出来らしいじゃん。MERもめちゃくちゃ評判いいから気になるしさ。ヒックとドラゴンのCGアニメの方昔見て内容は覚えてないけどめちゃめちゃ面白かったのは覚えてるから実写も興味あるよね。
全部、全部さ、きっと見たら面白いのよ。保障されてるのよ。
それに対して「ボーはおそれている」はさ、感想検索すると見事に評価が「最低」か「自分は好き」しかないわけ。割合的には6:4か7:3ぐらいかも。

なんかもう最近ね、観る前から絶対に面白いって信頼のある作品よりも、つまんねーかもな…っていう博打要素のある作品の方がスッと観れるんだね。
ギャンブルにハマるのと似てるのかもしれないね。スロットとかもさ、ハズレがあるからこそ当たりへの期待値もつり上がって、いざ当たった時にドーパミンがより多く出て、ハマっちゃうらしいじゃん?
ショート動画延々見ちゃうのとかもその仕組みなんだって。
もうね…きっとそうなんだね…。魂がさ…ひねくれちゃってんだね…。

というわけで観たんですがめちゃめちゃ面白かったです。「好き」側の人間でした。サンキューアリアスター!
いやでも別におかわりは全然したくないですけどね。それはミッドサマーもヘレディタリーもそうだったから。「もうたくさんだよ」がアリアスター作品の良さだからね。

既に配信もやってる作品をあえてIMAX料金を払って…!?という葛藤があったんですが、いや見る価値大ありでしたね。配信って飛ばせたり止めれたりしちゃうから、こういう観るのが苦痛なシーンのありそうな作品ほど劇場で拘束されて観る価値があるんですよね。
そしてIMAXスクリーンの価値もありましたわ。まあ画面おっきくてキレイで悪いことなんて無いんで基本どんな作品もIMAXで観た方がいいに決まってるんですが、この映画で「没入感が増すこと」ってかなりのバフだったと思う。

あと前もって「映画ジャンル:コメディ」ってハッキリ言っといてくれて助かりました。笑っていいと思って観るともう爆笑シーンの連続で、ずーっとニコニコしながら観てた。すさまじいギャグの量じゃなかったですか? 3時間よくこんなあらゆるオモシロシーンを連発出来るなと思って感心しました。

というわけでどこが面白かったか書きたいので以下ネタバレ感想でお願いします。

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『教皇選挙』感想

ポスターのかっこよさと評判、何よりコンセプトの魅力にずっと見たくてウズウズしてた教皇選挙をようやく観てきました!期待通りめ~っちゃ面白かったです!!
日本橋のTOHOで観てきたんですが一番でかいTCXのスクリーンでやってて、バチバチに決まった画とレイフ・ファインズの苦悩する顔をでっかい画面で観れてサイコーでした。お客さんも沢山入ってたな。
関係ないですが夜行ったら周辺の街並みがオシャレすぎてビビった。映画のセットみたいで、そこを花金で浮かれているサラリーマンたちが行き交ってました。チャリで行ったんですけど駐輪場も地下にあって、自転車ごとエレベーターに乗って格納しに行くようになってて景観維持への情熱を感じた。なんかビルの隙間にちっちゃい神社?も点在してて、どこも桜が咲いててキレイだったなあ!

映画のストーリーとしては宣伝されてるまんまで、教皇がいきなり亡くなってしまったから次の教皇を決める選挙を行わなければならない!っていう話です。
コンクラーベというその選挙がまあすごい。情報漏洩や、逆に外界からの影響を遮断するため、各地の枢機卿が選挙会場に泊まり込んで寝ても覚めても選挙に明け暮れる!誰かが2/3以上票を獲得するまで何度でもやり直し!教皇決まるまで帰れま10!
なので自ずと舞台はクローズドサークルの様相を帯びてくるってワケ。まあ雰囲気だけですがね!でもこんなん面白いに決まってますよ!物語っていうのはクローズドサークルものが一番面白いんだから!!

それにしてもこの催しを作品の題材に選んだ制作者のセンスがすばらしいですね。
かつて民主政治の始まりとしてギリシャのポリスで行われていた頃の選挙は市民全員が広場に集い投票する直接選挙制で、直接選挙だけが厳密な本当の民主政治と呼べるが、広い世界に多くの人口が暮らす昨今ではそんなやり方で選挙するのは現実的に不可能、今はほとんどの国が間接選挙制で政治を決定している…というのは政治経済の初めの方で勉強する話ですが、現代にもこんな無骨な選挙制度がこれだけの規模の組織で残っているんですね~。
いや冷静に考えると選挙する枢機卿も選ばれた人間で、ある意味一般信者を代表して集まってるわけだから普通にゴリゴリの間接選挙と言えるのかもしれないですけど。
でも選挙させるのはあくまでサブ的な役割で、そのために任命されてる人たちじゃないですよね?
何より集まった後の決め方が脳筋ですよ。一票一票神に誓って入れて、燃やして、また神に誓って入れて、燃やして、外界には煙の色で決まったかどうか逐一狼煙として知らせて、決まるまでそれを毎日やるという…アナログすぎる。まさに根競ーべ。(すみません、言いたい誘惑に負けました)

しかし伝統の建物、伝統の服、伝統のしきたりで枢機卿団が動く一方で、教会の外の駐車場には普通に最新の車とかバイクが止まってるし、移動は乗り合いバスだし、選挙始まるまでは法衣着た枢機卿が電子タバコ吸ってたりカバーつけたスマホを弄ったりしているチグハグ感が面白い。
古い伝統と新しい文化が融合しているというよりは、もっと消極的な、とっくに肉体と生態は資本主義と文明の波の濁流に遠く流されているけど、精神的な営みはその速度には追い付けないから、遠く流された現在という地点から思い出し思い出し丁寧に〝追いつける頃〟をなぞっている…というような儚さを感じます。
まあその「そこでなら追い付ける」という感覚も、結局は幻想に過ぎないのでしょうが…。

というわけで以下からネタバレ感想です。
この映画はネタバレなしで観た方が絶対にいいのでまだ見てない方は以降読まないでください!!

↓↓↓

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バンパイアハンターD観た

リバイバル上映中のバンパイアハンターD観た!!すごかった。(素朴な第一声)
お名前は存じてたんですが初見でした。菊地秀行氏の小説も魔界都市ブルースだけ一冊ぐらい読んだことあるんですが、バンパイアハンターDの方は読んだことなし。

何故観ようと思ったかというと、すごいと言われている作画がどんなものか気になったし、せっかく未見の映画をリバイバル上映してくれてるんだから映画館で見てみたいし、田中秀幸が好きだから…。

ところで唯一読んだ魔界都市ブルースの何かのエピソード、最後まで読んだはずだし面白いと思ったことは確かなんですが、読んだのが結構前のせいなのかおかしなことに内容をまったく思い出せない。秋せつらがとにかく美形だったことしか覚えていない。(秋せつらに実際会った人の感想?)

バンパイアハンターDは映画『メトロポリス』と同じ年に同じ会社(マッドハウス)で制作だったらしいですね。メトロポリスの方はレンタルされた当時観たことがあります。細かい絵が細かく動きすぎていて、子供ながらに作画のやばさを感じた作品でしたが、これと同じ年に制作…? 恐ろしい…。

というわけで以降ネタバレ感想です↓

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トワイライト・ウォリアーズ観た

ファーストデイだったので、なんかめちゃめちゃタイトルを目にするし観とくかと思って観ました!
お、面白かった…!!

マジで。RRRと張る。
どっちもタフネス!!な映画ですが、RRRは選ばれし特別な者の義務っていう感じのノブレスオブリージュの文脈が感じられるのに対して、トワイライト・ウォリアーズは雑草根性というか、その場所で生活する一構成要素として我武者羅に足掻くという視点の違いを感じました。

どっちもそれぞれの良さがあると思います。RRRの荘厳な挿入歌で雄々しく「見よあの男の姿を」みたいな壮大さで盛り上げる派手さは、伝説の人間の叙事詩みたいなスケールだからこそ出来る盛り上げ方だし。
しかしトワイライト・ウォリアーズの、ただ一人で安心して生きていたいだけ、しかしそれすらも困難で頼れる人も居ない中で、孤独でも必死に足掻いて人間らしく生きようとする主人公の苦労の身近さに私はすっかり食らってしまいました。

前半も頑張れ…頑張れ…と思って観てたし、ホームを手に入れてからは良かったねぇ…良かったねぇ…と思って観てた。マジいい映画…。
そして終わってみて一番好きなのは王九です。こいつ何なの?

というわけで以下ネタバレ感想です。

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忍たま乱太郎~ドクタケ忍者隊最強の軍師~感想

め~~~~~っちゃ面白かったですが!!!!!!????(大興奮)

というわけでネタバレ注意で感想書かせていただきます。

初見感想とかではありません。私は忍たまをジャンルとして嗜んでいるし二次創作小説を数本アップしているしほぼすべての生徒の人となりを把握しています。推しは一年ろ組の伏木蔵くんです。対戦よろしくお願いします(自己紹介)

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ホールドオーバーズ観た

お久しぶりです。なんか別に仕事が特別忙しくなったというわけでもない気がするのに妙に気忙しく、一切日記を書く気にならずに12月が過ぎていきました。これが師走ってことか…

気付けばもうクリスマスです。メリークリスマス。そしてこのクリスマスに相応しい映画を見ました。『ホールドオーバーズ』なんとアマプラで観れます!まさにこの時期、年末も含む時系列の映画なので今観る映画に超オススメ!

それにしてもめちゃくちゃいい映画だったんですが、あんまり感想が出て来ないですね。というのもロボットドリームズは「でもさあ…!」とか「あのさあ…!」とか、もっとやりようはあったんじゃないかみたいな、でもわかるけど…みたいな引っ掛かりの部分が沢山あったので言いたいことも沢山あったわけなんですけど、ホールドオーバーズに関しては「そうだよね…」の集積で出来上がってるのでもう言うことがないんですよ。ひたすら胸がいっぱいになるだけ。

でもせっかくなんで以下ネタバレ感想注意。

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まだ12人の怒れる男の話する

 まだまだ味がするから!!!!(※細かい内容からラストまで踏み込んだ話もしているので未見の方はネタバレ注意)

 この12人の怒れる男、トータルで皆何に怒ってたかって言うと「真面目にやれ」だったと思うんですよ。
 最初はたった一人、怒りというよりは仄かな憤りを抱いているというような、穏やかな口調で8番の男が議論の終了に待ったをかけます。
 この後ナイターがあるんだよと鬱陶しがる男にも滔々と落ち着いて会話する。

(吹替)
「じゃあなんで無罪に手を挙げたんだ?」
「確信があって挙げたんじゃないんです。ただ、一人の少年の生死を話し合いもせず簡単に決めていものかと思って」
「俺がおっちょこちょいだってのか?」
「いえそんな」
「オレは真っ先に手を挙げたよ? 奴が有罪だと信じてるからだ。たとえ百年話し合ってもオレの気は変わんねえぜ」
「あなたの気を変えようと言うんじゃないんです。……これは人間の命の問題です。簡単に決めて、もし間違っていたらどうします?」
「そんなことオレが知るかよ、そこまで責任は持てねえよ。オレは好きで来たんじゃねえんだよ」
「でしょうね」
「時間をかけたからってどうなんだよ。人殺しは人殺しだ。変わりはねえだろ?」
「話し合いましょう。ナイターまでまだ時間はあります」
「(肩をすくめて折れる)」

 しかし、その後「いいとも。どうせ時間つぶしだ。とっておきのジョークを…」とニヤニヤしながら話し出したじいさんにはキッと睨み付けて「私は真面目に言ってるんです」とマジギレ。初ギレ、初怒りです。
 野球好きおじさんは態度こそヘラヘラしてて自分のことしか基本考えてないものの、他人に割ける僅かなキャパシティで一応自分なりの考えってものを少年に関して持った上で疑問をぶつけてくる。それに対して、ニヤニヤ偉そうな方のおじさんは端からマトモに思考を割こうとすらしてないですからね。

 この「私は真面目に言ってるんです」という怒りこそがすべての怒りのスタート地点です。
 みんな始めは「な~に分かりきったことを今更…w真面目な顔して…w」というノリだった。それが話し合いを続けていくうちに、次々と「真面目にやれ!!」とマジギレする側に回っていく。
 人間がどうでもいい他人の命、人生のために〝マジ〟になっていく過程を描いてるんです。それはつまり『正義』の話ってこと…!!

 で、いきなりラストの話しますけど、こうやって皆で蒸し暑い室内で汗掻きながら直接話したこともない赤の他人の少年のために赤の他人同士で白熱した議論を重ねて自分の良心と向き合って、その結果「無罪で満場一致する」以上の何かが起こるわけではないところが良い!!
 最後の最後、ミスマープルポジだった最高齢のおじいさんが追いかけてきて、「お名前は?」と尋ねる彼に8番の男が名乗り、おじいさんも名乗り、お互い握手し合う。それだけ。
 握手が済んだ後別に他に何があるわけでもないのでおじいさんは「それじゃ、さようなら」とアッサリ別れを告げ、8番の男も「お元気で」と見送って別れる。それだけ。それがいい!!
 だって彼らは自分という人間のためにあそこまでマジレスを交わし合ったわけじゃないから。自分と社会の間に交わした正義のために、あくまで平等な一票の重さでもって、最初から最後まで個の責任においてそこに参加していただけだから! 別にそこから友達付き合いが始まるわけでもないし二度と会うこともないでしょう!! ただそれぞれが軽やかに雨上がりの空の下裁判所前の階段を下りていくことが出来る、後に残るのはそれだけ!! かっこよすぎる!!

 また主人公の8番の人の抑制が効いた表情が本当にイイんですよね…。
 常に理性的で…でも決して何も感じてないわけじゃないことが端々からわかって…。それは優しさとか陳腐なことじゃなくて、もっとこう義侠心というか…一番印象的なのは一番最後に退出する時、皆で議論を重ねたその室を、卓を、しみじみと一度だけ振り返って眺める仕草です。
 〝思うところがあるんだな〟ということはハッキリと分からせる。でもそれが具体的にどういう感情なのか、型に落とし込めるような派手な感動は見せない。ただじっと何かを思っている。
 これこそ抑制ってやつですよ…。渋すぎる…。

 ところで話は変わりますが吹替が素晴らしいですねこの映画。というかアマプラの字幕が自動翻訳の字幕しか無くて酷い。
 もしこの映画字幕で見たら全然面白くないと思う! 絶対に吹替でしか見て欲しくない!!

 特に良い翻訳~と思ったのは下記の「公算が強い」って言い回し。

(吹替)
「分かるんじゃなく可能性が高いと言ってるんです! だから窓から外を見た時も眼鏡を外していた公算が強いんだ! 彼女は寝返りをうった時たまたま事件を見たと言っている! 慌てて眼鏡をかけてもその時は明かりが消えていますよ!」

(オリジナル音声)
I don’t know.
I’m guessing.
I’m also guessing that she probably didn’t put her glasses on when she turned and looked casually out of the window.
And she herself testified the killing took place just as she looked out.
The lights went off a sprit-second later.
She couldn’t have had time to put them on then.

(私のザコ直訳)
「分かるわけじゃない推測が出来ると言っているんです。だからこうも考えられる、彼女はおそらくかけていなかった彼女の眼鏡を、彼女が振り返り何気なく窓の外を見た時には。
しかもまさに彼女が彼女自身で見たと証言する殺害の場面では、明かりはほんの一瞬後に消えています。彼女は眼鏡をかける時間などなかったでしょう」

 英語の言い回しに対して吹替は口に合わせた上でなんてスマートに日本語化するんだ! と感動してしまいます。
 ちなみに以下は同シーンのアマプラ字幕。

(アマプラ字幕)
「推測ですよ ふと窓の外を見た時も掛けていなかった 見た途端 犯行があった 眼鏡を掛ける暇もなかった」

 ロボットかよ!(ロボットによる翻訳です)
 そもそも英語には丁寧な言い回しという概念はありますが敬語という概念が無いので登場人物基本全員タメ口なのが物足りなさすぎる。
吹替は丁寧な再翻訳によって主人公の紳士さが4割増してる!! 話の面白さも4割増してる!!

 あと吹替は端々の言い回しで「お前が言うな」感がメチャクチャ増してるんですよ。このウィットに富んだ感じは直訳だと出ないと思う。

(吹替)
「横からギャーギャーわめくなって!」(発言者の男は始終横からギャーギャーわめいている)

(オリジナル音声)
Don’t give me that.

(アマプラ字幕)
もう やめろ

 字幕だと全然面白くない!!

 他にもスマートな翻訳だと思った緊迫のシーン。

(吹替)
「それでも男かよ!! あのガキが有罪なのはわかり切ってる! さっさと電気椅子に送り込んじまえ」
「なんてことを! あなた死刑執行人ですか!?」
「だったらどうする!!」
「……自分でスイッチを入れたいんでしょう」
「あのガキなら喜んでやるね!」
「そんな恐ろしいことを平気で言えるあなたにかえって同情します! ここに入ってきた時からあなたの態度は血に飢えた復讐鬼のそれだった。単に少年の血が見たい、それだけで彼を有罪にしたいんでしょう? あなたはサディストだ!」

(オリジナル音声)
-What’s the matter with you guys?
You all know he’s guilty!
He’s got to burn!
You’re letting him slip through our fingers.
-“Slip through our fingers”?
Are you his executioner?
-I’m one of them.
-Perhaps you’d like to pull switch.
-For this kid, you bet I would.
-I feel sorry of you. What it must feel like to wanna pull the switch.
Ever since you walked into this room, you’ve been acting like a self-appointed public avenger.
You want to see this boy die because you personally want it, not because of the facts.
You’re sadist.

(私のザコ直訳)
「お前らどうしちまったんだ? 奴は有罪だと分かり切ってるだろ! 奴を電気椅子に送れ! 俺たちの指から奴をすり抜けさせる気か?」
「『俺たちの指から奴をすり抜けさせる?』 あんた彼の死刑執行人か?」
「その一人だ」
「きっと自分でスイッチを押したいんでしょうね」
「あのガキなら喜んでそうするね」
「同情を覚えますよ。どんな気分でしょうね、そんなスイッチを押したくてたまらないとは。この部屋に入ってきた時から、あなたの態度はまるで社会を代表する復讐者のようだった。あなたが彼の死を見たいのは個人的な欲求だ、事実のためじゃない。あんたはサディストだ」

(アマプラ字幕)
「どうしたんだ? やつは有罪だ 電気いすさ!」
「君は死刑執行人か?」
「その1人だ」
「君がスイッチを?」
「入れてやるさ」
「よくそんな気持ちになれるもんだ 社会の復しゅう者を気取っているのか 個人的な憎しみで殺したいのか サディストだ」

 IQが後半に行くにつれて下がっていく~~~~!!
 逆にアマプラ字幕は小学生とかが見るならむしろ一番適してるのかもしれないと思い始めてきた。(小学生が見て楽しい映画ではないだろ)

 あと激シブのこの台詞。

(吹替)
「本当に殺すつもりで言ったんじゃないんでしょう?」

(オリジナル音声)
You don’t really mean you’ll kill me, do you?

(アマプラ字幕)
「殺す気はないだろ?」

 アマプラ字幕、いちいち省略しすぎなんだよな…。
「少年が殺してやると叫んでいる声を聞いた人間がいる、だから殺意があった」と主張して憚らず、そのぐらい本当に殺す気が無くても言うことだってあるという周りの意見に断固として耳を貸さなかった男が「殺してやる!」と自分に向かって怒鳴ってくるのに対しての台詞なんですよ。
 アマプラ字幕でも深読みすればそういう意図(相手の主張への意趣返し)で言ってるって分かる気もするけど、やっぱ吹替の言い回しが秀逸だと思うな~!
「本当に殺すつもりじゃなくても怒りだけで殺してやると口走ることもあるのが人間だろ、ほら」っていう意図がオリジナルの言い回しよりスパッと明確になってると思う。

 あと敬語だけでなく口調で個性が強まってるのもいいですね。特に眼鏡の人。

(吹替)
「やめたまえ。金輪際あなたの話など聞きたくないね」

(オリジナル音声)
I have. Now, sit down and don’t open your mouth again.

(アマプラ字幕)
「聞いたよ 座って二度と口を開くな」

 吹替はこの眼鏡の人の神経質そうなキャラ付けが非常にうまくいってると思いますね!
 特に好きなのが下記のシーン。

(吹替)
「私は見た。……もっと早く気付くべきだった」

(オリジナル音声)
I did, Strange, but I didn’t think about it before.

(私のザコ直訳)
「私は見た。しかし奇妙だが、これまでそのことに気付いていなかった」

(アマプラ字幕)
「見たよ 今になって思いだした」

 この「早く気付く〝べきだった〟」って言い回しでこの眼鏡の人のことめちゃめちゃ好きになっちゃったからやっぱり吹替が至高です!!
 意訳なのかもしれないけど、この人はこの人なりの真面目さでもって有罪側に立ってた人ですからね。真面目にやれ、がテーマだけあって有罪側にいることにガチな奴ほど手ごわい。(ガチの方向性はそれぞれとして)
 彼なりのプライドを持ってそちらに立っていた人、ということで「べきだった」という言い回しはすごく彼のキャラ付けの解像度を上げているなあと。
 実際最後まで残ってたあとの二人はちょっとメンタルに問題ある人だったので、実質彼がラスボスだったと思います。だからこの陥落のひとことを言うシーンが大好き。

 でも息子憎しの男のクライマックスシーンはアマプラ字幕がわりと好きかも。

(吹替)
「生意気なガキどもはみんな死んじまえばいいんだこのクソッタレめ!」

(オリジナル音声)
Rotten kids. You work your life out!

(アマプラ字幕)
「ドラ息子め この親不孝が!」

 このアマプラ字幕の言い回しの方が吹替よりもオリジナルからは離れてると思うんだけど、結局自分の息子への愛憎が彼の頑なさの根底だったっていうキャラ付けの補強としては写真の息子単体に対して罵っちゃうアマプラ字幕のセリフの方が好み。

 いやー言語って奥深いですね。
 あと被告の少年がスラム出身だからって「あいつらに理性とか無いんだ喧嘩っ早いケダモノだ」とかボロクソ言われてる時に「私もスラム出身者です」って憤りながら名乗り出た男が、後半「怒鳴るのもいい加減にしろ頭に来るぞ!」と立ち上がりかけた隣の男を「まあまあ喧嘩はまずいよ」って諫めてるシーンとか、細かい見どころがたくさんある。
 やっぱ〝人間〟を描けてる物語ってすばらしい。

 アマプラ見放題延長して~~~~~(むり)

十二人の怒れる男みた

アマプラで今月末で見放題終了するらしいので、名作と名高いことは知っていた今作をようやく頭痛のする雨の日曜の午後に視聴しました。

おっ……面白かった……!!!!!!!!

別にエモーショナルなシーンとか無しに、純粋に面白過ぎて感動してしまった。
全然場面展開の無い作品らしいってことは聞いてたけど、私の物語に求める理想って〝コレ〟かも!! と思った。
元々ゲームでも小説でも何でも、私は「場所が区切られてる話が好きなんだ」っていう自覚はあったんですよ。ミステリーでも館モノとかクローズドサークルものが好きだし。ゲームでもかまいたちの夜とかまさにそうですよね。クロックタワーも建物から出ないので面白いんだと思うんですよ。
別にずっとその場所じゃなくても、逆転裁判とかも場所単位で物語が進展するじゃないですか。留置所で1イベント、犯行現場で1イベント、関係者の家で1イベントって感じで。場所っていうのは内部の人間の悲喜こもごもを区切る入れ物に過ぎないでほしいんですよ! 舞台は多くなくていいんです! 固定した書き割りが1ターンごとに背景にあればそれでいいんです!
オープンワールドゲーが向いてないのもそこなんですよね多分。開けた場所を走り回って何かする人間の自由さが見たいんじゃないんだ! 閉じた場所で動けずに自分の内面から何かひねり出す人間の不自由さが見たいんです!! 人間ってそこにいるだけで過去のすべてを内包した宇宙だから!!

印象的だったのは11対1で1の側に立って話し合いましょう、と主張した男にちょいちょい他のメンバーがトイレとかで自分から話しかけに来る場面があるところ。
意図を探るような、アンタはどういう人間なんだと問いかけるような。それでいて自分の話を聞いて欲しいような。真っ向からたった一人、味方なしで議論の対面に立つことを表明した相手がゆえに、話しかけやすいと言うとちょっと違うかもしれませんが、ある種の〝話せる信用〟みたいなものが周囲の心に根付いてるような印象を受けます。

実際議論して人を説得するということはカウンセリングに近いものがある。
始めは初対面の社会人同士、本心を見せない、喫煙所で挨拶するような気楽なノリだったのに、どんどんそれぞれがどういう人間なのかが詳らかにされていく。まったく異なる社会生活を送る人間、その相手がどういう立場で人を裁こうとしているのか。立場の表明ということが、すなわち自分の表明に他ならなくなっていく。
自分の選んだ立場を否定されるということはすなわち自分自身を否定されることでもある。対立する立場を主張する相手はすなわちアイデンティティを脅かす敵である。だから皆抵抗する。自分の方が正しいんだとそれぞれの道理でもって主張する。
何故ならこの陪審員制度では、全員一致でなければ総意として提出することが出来ないから! 有罪か無罪か、それは究極の二元論! どちらかを選ぶしかない! 〝審議〟というこの場所で、その営みの中でだけ、立場が可変であるという形で留保が許される!!

最高。面白過ぎ。人類に必要なのはこの部屋なんだと私は思うね。「話し合いましょう」。主人公の男かっこよすぎる。
俳優の人が気になってググったら五度結婚してました。仕方ないね。そりゃモテますわ。