同胞

 炭焼き小屋で爺さんがヒグマに食われていたという話を、克明な描写つきで食事中に淡々と聞かされたのはいつのことだったか。俺も人のことを言えた性質ではないが、輪をかけて無表情だった男の顔を思い出す。口も俺より悪かった。悪すぎて面白かったのでよく一緒にいた。何だかんだと入隊から造反まで長い間つるんでいた事になる。
 人間……谷垣に殺されたとばかり思っていたが、ヒグマの倒し方だの何だの言っていた癖に自分もヒグマにやられたとは。考えると面白くなって、俺は声を立てず笑った。もし地獄が実際あるのならば、会った時にからかってやらなくてはなるまい。
 ヒグマをあの世に送るアイヌの儀式を眺めながら、供された酒を舐める程度口にし、俺は束の間その男の死にざまを思い描いた。